S12 シルビア・ガゼール
講座 W
(ウンチク・豆知識編 その二)
『 S12とは・・・ 』
さて、そんなワケで 本来、生まれてくるはずではなかった US12(&FJ20エンジン)に
あっさり主役の座を横取りされてしまった「S12」について ここでは解説しようと思います。
まだ S12とUS12の関係についてピンと来ないヒト・・・
クルマで言えば・・・ Tヨタのクラウンとマジェスタ(またはセルシオ)のような関係でしょうか。
「いつかはクラウン・・・」と トYタの最上級高級サルーンカーの位置付けであったのに
後からやってきた追加グレード(本名は「クラウン・マジェスタ」でしたよね)に 持ってかれちゃったように・・・・・
または お蕎麦屋さんで まかないで食べてたカレーライスを ランチで出してみたら
本来のお蕎麦より人気が出ちゃった^^; みたいな・・・
と、いうことで 本当の主役・S12とはどんな車両なのか・・・?
※全車ターボ! 最終型にはツインカムエンジンが!!
まず、エンジンについて・・・。
先のグレード説明でも述べたように すべてが「ターボエンジン」となります。
車名が「シルビア・ターボ」「ガゼール・ターボ」というくらいですからね^^;
種類としては「CA18ET」と 後期型では「CA18DET」がありました。
ニッサン通な方ならご存知かと思いますが DETの゛D″は「DOHC」=「ツインカム」の意味です。
よって CA18DETの方は 30馬力ほどUPされ 145馬力の出力が謳われています。
(CA18ETは115馬力)(当時のカタログには「グロス値」というもので表記されていますが 現代表記「ネット値」に換算した数値です)
つい先日、ネット上のブログなどで
「S12はどうして後期型でパワーダウン(退化)しちゃったんだ??」
という疑問を見かけたのですが これは間違いで 実は30馬力もUPしていたんです。
基本的には既存のCAエンジンをツインカム、マルチバルブ化しているだけなので パワーダウンは考え難いです^^;
おそらく FJ20ET(161.5馬力(グロス値:190馬力))と比較してしまって思い違いをされたのだと思いますが、
先にも言いましたように S12とUS12は別モノなので 要注意です。
CA18ET 最高出力:115馬力 SOHC 8バルブ ECCS−TURBO |
CA18DET 最高出力:145馬力 DOHC 16バルブ ECCS−TURBO |
・DOHC16バルブヘッド搭載、ECCSの世代チェンジ(NICS、NDIS追加)などを経て 進化を遂げたCA18DET
※比較しやすいように出力計算は「ネット値」に換算してあります。カタログや日産自動車から公表されている数値は「グロス値」
※FJエンジンぢゃぁない 「RS-X」の存在・・・
その方が勘違いされてしまった理由のひとつとして 非常に紛らわしい「グレード設定」があると思います。
当時、「RS」=「FJ20エンジン」というのが 日産ファンのみならず
クルマ好きには植えつけられていたんだと思います。
しかし、S12は後期型で FJと同じDOHCヘッドを持ったCA18DETの搭載された車種を
「RS(-X)」と設定してしまいました。
たまたま FJエンジンの生産終了により RSのグレードに゛空き″ができたため
そこへねじ込んで?しまいました^^; 本来なら
「TWINCAM TURBO R-X」
と、なるところが・・・
「TWINCAM TURBO RS-X」
と、なっちゃいました^^;
前期型 最上級グレード TURBO R-X・G |
後期型 最上級グレード TWINCAM TURBO RS-X |
・トランクに貼られた エンブレムステッカー
※後期型でも TURBO R-X(CA18ET搭載車)は継続設定されたため 差別化する意味でも ゛RS-X″が用いられたのかもしれない
これには 各所から賛否あり いろいろと問題となった出来事でもありました。
メーカー側としては単純に「DOHC」=「RS」という意味だっただけなのかもしれませんが
RS、FJファンや&スカイライン・ファンにとっては なかなか受け入れられなかったんだと思います。
「RSの称号はFJ20だけのもの・・・」
そういう風潮があったのは事実で
当時、中学生だった私自身も疑問に思った出来事でした。
※今ではすっかり いろんな車種に使われるようになって・・・ 軽自動車にまでありますもんね^^;
・・・なので S12で「RS-X」というグレードだけから見てしまうと、
「後期型では 1800CCに排気量ダウンして 馬力も15馬力ほど落としてしまった・・・」
と、いうふうに見えてしまうのかもしれませんね^^;
まぁ、冷静に考えてみれば
自動車メーカーが「退化」するような「開発」をするわけがありませんよ^^;
当時は 高性能、高出力競争時代の真っ只中ですからね・・・^^;
まぁ、とにかく FJ20(RS)の存在のおかげで S12のコンセプトはブレにブレまくり
いろんなところに影響を及ぼしてしまったワケなのです。
逆に言えば FJ20の存在が それほどまでに業界はおろか社会にまで影響を及ぼしたか・・・ということでしょう。
(※FJ20エンジンの生い立ちについては有名なハナシで 各所で言われているとおり これまたイレギュラーな存在であった)